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やっと救急車が来たけど…
涼はその救急車に乗せられる事はなく、その場でブルーシートを被された…。
警察が来て、何度も状況を事細かに聞かれる。
「被害者と倉橋さんの関係は?」
その質問に俺はなんて答えたらいいのか一番戸惑った。
知り合い…そんな簡単なモンじゃない。
友人…その一言で片づけたくない。
俺にとっての涼さんは…
もう一人の天使だった…。
現場での事情聴取を終わって、
ようやく救急車に乗せられる涼を見つめていると
「倉橋桔平さん…ですね?」
ガタイのいい黒のスーツに身を包んだ男に声をかけられた。
「…はい」
「ウチの涼が世話になりました」
その人は俺に深々と頭を下げた。
「…いえ…世話になったのは自分の方です」
その人は八幡興業の門倉という人で、どうも涼の兄貴分のようだった。
「涼を殺ったのは、稲本会の的場で間違いないですか?」
「…はい…
俺をかばって涼さんが刺されました」
「解りました。
今後倉橋さんには一切ご心配かけませんので安心して下さい。
本当に申し訳ありませんでした」
もう一度深々と頭を下げる門倉さんを見つめながら俺はもう言葉も見つからなかった…。
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