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俺には解らない涼の生きて来た世界。
だけど…
その世界の中で生きて行くことは心を持ってたらいけないと瑞希は言った。
本当にそうだろうか?
涼は…
あんなにも優しい心と強さを持って生きて来た。
そして涼は自分の命の欠片も俺にくれた。
今こうして俺みたいなガキに深々と頭を下げるこの人だって…
涼のためにその稲本会とやらと命がけで向かい合って行くんだろう…。
「涼さんは…俺の天使でした」
ふいに放った俺の言葉に門倉さんは微笑んだ。
「倉橋さんにそう言って頂けて、涼も喜んでると思います。
本当に…ありがとうございました」
俺も深々と門倉さんに頭を下げた。
やがてサイレンを鳴らす事もなく、走り出した涼の乗った救急車を、ただじっと見つめていた…。
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