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初めて貰った給料で、俺はこっそり指のサイズを測っておいた瑞希の指輪を買った。
涼と俺の二人から瑞希へ最後の贈り物。
瑞希には、このふたつを一緒に渡そうと考えていた。
「涼さんと張り合っちまった」
そう言ってふたつのプレゼントを瑞希に渡すと、瑞希はクスクス笑ってる。
「貸してみ?
俺がつけてやる」
俺の買った指輪を瑞希の左手の薬指にそっとはめた。
「桔平すごい。私の指のサイズ、良く解ったね?」
俺はフフっと笑って、瑞希の首に涼からのプレゼントのネックレスをつけてやる。
「涼にありがとうって伝えておいてね」
ニコニコ笑って言う瑞希に、思わず泣きそうになったけどグッと堪えた。
「ああ、ちゃんと伝えておくよ」
だってきっと涼さんはここにいるから。
あの人は、きっと瑞希のそばにずっといる。
俺はそう信じていた。
あの時、見えた片方だけの天使の翼。
瑞希のもうひとつの翼は、きっとここにいる。
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