最後の贈り物

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最近治療の合間の瑞希が良く笑うようになっていた。 きっと涼が瑞希を今も守ってくれているからだろう。 「桔平、今週末ね外泊許可出たのよ!」 嬉しそうに言う瑞希に俺は優しく微笑みながら言った。 「本当ならどこか連れて行ってやりてぇけど、無理させらんねぇから…家でゆっくりしような」 俺の言葉に一瞬プクっと膨れた瑞希だったけど 「じゃあまた桔平の創作料理作ってくれる?」 とニコニコしながら言った。 「…大丈夫かな?腹壊したら病気悪くならねぇか?」 真面目に心配する俺を見て、瑞希がアハハと笑う。 マジで心配なんだけど…。 「じゃあ週末は、仕事休み取るからな。 んじゃ仕事行って来るよ」 「うん、ありがとう! 桔平いってらっしゃい」 「行って来ます瑞希」 病室を出た途端、溢れ出して来る涙で視界が歪む。 恐らく…この外泊がきっと最後の瑞希との夜になるだろう事は俺にも解っていた。 ドクターから言われたのは… 「残りの時間を大切にしてやって下さい」 だったから…。  
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