温もり

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夕闇に包まれ始めた部屋の中… ただ黙って涙をこぼす瑞希を見つめ、俺はもう何も言葉が見つけられなかった。 「桔平…それは…違うわ」 ポツリと言い出した瑞希は、ゴシゴシと涙を拭いた。 「桔平のせいじゃない…。 涼の運命だったのよ…。 桔平をかばって死ぬなんて…ホントに涼らしいわ。 涼も…桔平に救われたのね。 心を取り戻せたんだから」 そう言ってあの金のプレートのネックレスをじっと見つめる瑞希。 「これ…形見分けで持って来たのね」 「…黙っててゴメン…」 瑞希はニコっと笑った。 「ありがとう、桔平。 涼の代わりにお礼言わせて。 涼の命の欠片までもらってくれてありがとう…」 俺はもう我慢出来なくなって、声を上げて泣いた…。  
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