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瑞希にやっと涼の事を話せた事で俺の中でずっと抱え続けて来た重たい荷物がなくなったような気分だった。
「さて、早くごはん作って食べなきゃお腹空いたでしょ?」
そう言って再びキッチンに戻った瑞希に俺も再び野菜炒めを作り始める。
「強火で一気に仕上げるのよ?…あぁ野菜から入れちゃダメでしょ!お肉を先に入れなきゃ…」
隣で小姑にみたいに言う瑞希に
「食えりゃいいだろ」
投げやりな俺。
こんな風に一緒にメシ作るのも最後なのかな…
考えないようにしてるつもりが何をしても全部がそう思えて来てどんどん胸が苦しくなる。
俺が苦戦してる間に、あっと言う間にハンバーグを仕上げる瑞希に感服。
ようやく出来上がった食事はテーブルいっぱいに並べられた。
「いただきまーす」
瑞希の監督で作った俺の野菜炒めは、今度はちゃんと出来て奇妙な創作料理じゃなかった。
「んー美味しいー!病院の食事ってどれも味気なくてね、なんか久々にこんな美味しいもの食べた気がする」
そう言って微笑む瑞希の作ったハンバーグに夢中の俺。
「やっぱ瑞希のハンバーグは美味いなぁ」
「ふふふっ…桔平本当にありがとう」
急に言い出す瑞希に俺はバンバーグを突きながら聞いた。
「なぁ瑞希、俺と一緒にいて幸せ?」
「もちろんでしょ。
桔平は私にたくさん幸せくれたわ」
「…だったらいいけど…」
美味しい美味しいと何度も言いながら俺の作った野菜炒めをパクパクと食べる瑞希を見つめて俺は思っていた。
…このまま時間が止まってくれたらいいのにな…。
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