命の欠片

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瑞希と過ごす最後の夜… 一緒に風呂に入ってからリビングで寛いでいると、瑞希が俺をじっと見つめる。 「桔平… 私の命の欠片、ひとつ残さず受け取って…」 そう言って瑞希は俺をベットへと誘った。 「ダメだよ、瑞希。 無理させる訳には行かねぇんだから我慢しろ」 俺の言葉なんて聞いてんだか聞いてないんだから解らないみたいに瑞希は俺の手を引いて寝室へと入って行く。 「…お願い… きっと…これが最後だから…」 切ないくらい瞳を揺らしながら言う瑞希に俺は正直困った。 「瑞希…? 1日でもいいから長生きしてくれよ…」 俺が何を言っても聞かない瑞希がもう一度俺を見上げて言う。 「…お願い… 最後にもう一度だけ… 桔平に抱かれたいの…」 俺はしばし考え込んでから覚悟した。 「解った。 その代り、今夜は瑞希を犯すのは俺だぞ? それでいいな?」 瑞希はニコリと笑って頷いた。 ぼんやりと灯るベットサイドのスタンドライトが、真っ白な瑞希の肌を映し出す。 あの夜… 雪と一緒に落ちて来た天使のカラダを優しく愛撫する。 初めて瑞希に犯された夜。 この白い肌が俺の上で妖艶に揺れ始めた時…全てを食い尽くされるような気がした。 だけど… 瑞希はやっぱり天使で… 俺の忘れてしまった愛情という欠片を与え続ける事で、その意味を思い出させてくれた…。 俺の舌の動きに、ピクンと反応する瑞希を見つめながら、最後の命の欠片を集めて行く。 「瑞希…」 「あっ…っ…桔っ…平…」 「もっと…感じて…」 「…あぁっ…ん…」 「もっと…声…聞かせて…」 「桔…平っ…愛…してる」  
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