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瑞希の温もりを優しく抱きしめながら俺は久々にゆっくり寝れた気がした。
まだ俺の胸の中で眠ったままの瑞希の顔をじっと見つめる。
出会った頃より少し痩せた瑞希の姿に残りの時間が刻々と減って行っているのを痛感する。
…失いたくない…。
初めて誰かを愛せたのに…
考えても考えても俺にはどうする事も出来ないのが悔しくて…
ただこのまま瑞希が旅立つその日までそばにいる事しか出来なくて…
受け入れなきゃいけない現実に目を背けてはいけないんだ。
「桔平…おはよ…」
目覚めた瑞希がニコリと笑う。
この笑顔を守りたくて…
俺は少しは強くなれたのかな?
「おはよ、瑞希。
良く眠れたか?
具合悪くねぇか?」
優しく抱いたつもりだったけど、やっぱり俺は瑞希のカラダに溺れてしまった…。
瑞希はクスっと笑って
「全然平気よ。
桔平、抱いてくれてありがとう」
そう言ってベットから起き上がった。
その姿を見つめながら、今日も瑞希が元気でいてくれる事に感謝する。
今にも溢れ出しそうなくらいたくさんの命の欠片を抱えながら…。
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