命の欠片

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「それと…これ…」 そう言って箱の中から黒の包みを取り出した。 「…本当は入院する前に渡そうと思って用意してたんだけど… 私から桔平へのプレゼント。 開けてみて?」 俺は涙を拭いて、その包みを受け取った。 黒の包装紙を開くと、細長い箱が入っていた。 ゆっくりその箱を開けてみる。 そこには涼が瑞希に送ったのと同じ金のプレートに文字が刻印されたネックレスが入っていた。 『To Kippei . Wish Your Happines Forever. From Mizuki』 刻印された文字がまた涙で歪んでいく…。 「涼と私の趣味って一緒なのかしらね。 涼のプレゼント見た時、一瞬私はこれが見つかっちゃったのかと思って焦ったわ」 ふふふと笑いながら言う瑞希を俺はぎゅっと抱きしめた。 「瑞希…ありがとな…」 きつく抱きしめる俺に瑞希が言った。 「桔平? 私が死んでも絶対にまた誰かを愛して…絶対幸せになってね。 私が桔平に求めるものはこれが最後よ…」  
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