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「…解ったから…
もうそういう話はやめてくれ…」
まだこんなにも瑞希は温かいのに…お前がいなくなってからの事なんて考えられるワケねぇだろ…
そう思いながら俺はじっと瑞希を抱きしめていた…。
病院に戻るまでの時間は、まるで自分の生きて来た全てを整理するかのように、瑞希は家の中を整理している。
その姿をただ見つめる事しか出来なかった。
「だいたいこれでOKかな…
桔平、じゃそろそろお昼でも食べてから病院戻ろうか…?」
俺は瑞希に頷いて、支度をした。
部屋の玄関で、部屋に向かってペコンと頭を下げる瑞希。
少し寂しそうに俯いて、フッと笑ってから俺を見上げる。
「さ、行こうか桔平」
吹っ切れたように瑞希が部屋のドアを開け、一気に光が差し込んで来る。
その眩しさに目を細めた時、瑞希の背中に天使の翼が…ふたつ見えたような気がした…。
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