さよならは言わないで

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外泊許可から病院へ戻ってから、瑞希の体調は明らかに悪くなっていた。 昼間、俺が病院へ行っても瑞希はほとんど眠っている。 痛みがかなり激しいらしく、痛み止めの薬はもう最終段階を迎えていた…。 「もう残りの時間は少なくなっています。 少しでもそばにいてあげて下さい」 先生の言葉を聞いて、俺は仕事を辞めた…。 お世話になった職場だったけど、瑞希のそばにいるためにはそれしかなかった…。 「桔平…いてくれたんだ…」 浅い眠りの合間に瑞希がニコリと笑って俺を見る。 「心配すんな。 ずっとここにいるから」 俺の言葉に安心して再び瑞希は眠りへと落ちて行く…。 眠っている瑞希を見つめていると、もしかしたらもうこのまま目を覚まさないんじゃないかって不安に襲われる。 そのたび心電図の波が規則正しく波を打つのを見て、瑞希がまだ生きてる事に安心する…。 毎日がその繰り返し。 辛い…。 愛する人がどんどん弱って行く姿をただ見つめるだけしか出来ないのは本当に辛くて…。 何度もここから逃げ出したいと思った。 だけど… そのたびに心の中で涼さんが最期に言った 『瑞希を頼んだぞ』 その言葉が聞こえて来て、俺はこの場所に踏みとどまっている。  
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