さよならは言わないで

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ICUの中にずっといると、自分自身が壊れそうになって来て、俺はICUを出て薄暗い待合室で優斗に電話をした。 「優斗…夜遅くに悪りぃな…」 「桔平? お前…大丈夫か?」 「ああ…なんとか俺も生きてる」 「辛いだろな…でも、ちゃんと最期までそばにいてやれよ」 「解ってる…」 言われる言葉はいつも同じだけど、優斗の言葉で俺はまた少し自分を取り戻す。 ひとりじゃ抱えきれない瑞希の命の欠片を優斗に預けてる気分だったんだと思う。 自販機で眠気覚ましに缶コーヒーを買って一気に飲み干してから瑞希のそばに戻った。 「桔平…?」 ちょうど目覚めた瑞希が弱々しく俺を呼んでいる。 俺はすぐに瑞希の手を握って言った。 「ここにいるよ…」 瑞希はかすかに微笑むと、小さな声で途切れ途切れの言葉を繋ぐ。 「あり…がと…ね… 桔平と…出会…えて…よか…た」 「瑞希…無理すんな。 もう解ってるから…何も言わなくていい」 意識朦朧の状態で俺を見つめる瑞希の瞳に涙が溜まって行く…。 「涼…が…迎えに…来た…よ」 そう言った瑞希の心電図の波がどんどん弱々しくなり始めて すぐ隣にあるナースステーションに向かって俺は叫んだ。 「看護師さん!瑞希が…!!」   
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