海の見える場所

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優斗と美優が助けてくれて瑞希の葬儀も無事行う事が出来た。 さすがに瑞希が焼かれてしまう時は、俺は瑞希の棺に泣きついてしまいそうだったけど… 優斗が隣で支えてくれたから崩れ落ちずに済んだ…。 納骨が済むまでは瑞希のマンションはそのまま使わせてくれるという事だったので俺は小さな骨壺に入ってしまった瑞希と一緒にマンションに帰る。 リビングに作った段ボール製の祭壇の上で、優しく微笑む瑞希の遺影をじっと眺めた。 「瑞希… 良かったな… 涼さんのお墓… お前の隣だってよ」 門倉さんが涼の部屋を整理していた時に、あの瑞希が見せてくれたのと同じ海の見える霊園のパンフレットを見つけたらしい。 きっと涼はここに墓を建てたいと思っていたんだろうと、その霊園を訪ねたら… 真新しい一角に 『飯島瑞希』の名前が墓石に赤く刻まれているのを見つけたそうだ…。 涼がどれだけ瑞希を大切にして来たか、良く知る門倉さんは迷わず瑞希の墓の隣の区画を購入したそうだ…。 これで…良かったんだと俺は思う。 本当は涼と瑞希が結ばれるべきだったと思う…。 だけど… 人生なんて何があるか解らない… 俺と瑞希は14年の時を経て、再び心を通わせた。 この先俺はいつか、また誰かを愛せる日が来るのだろうか? 「なぁ…瑞希…教えてくれよ」 何度問いかけても何も返事の返って来ない遺影を見つめながら先の見えない明日に怯えていた…。  
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