普通の幸せ

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「メシ、全然食ってねぇんだろ?」 瑞希が亡くなってから少し痩せた俺を心配して、美優と優斗がキッチンで食事を作ってくれている。 「ちょっと!優斗!ちゃんとその野菜洗った?!」 「うっせーな、袋に入ってんだから洗わなくたっていいんだろ?」 「バカじゃないの?!泥ついてんじゃん!」 「あれ?ホントだ…」 キッチンで言い合う二人を見てたらなんだか笑えて来た。 「ちょっと!桔平!何笑ってるの?! アンタも手伝いなさいよ! 優斗に任せてたら美味しいものも美味しくなくなっちゃうわよ!」 「はいはい…」 俺もしぶしぶ一緒にキッチンに立ったけど、結局おぼつかない手つきの包丁さばきを優斗と美優に大笑いされる。 「全く…ふたりとも役立たずね! もういいわ!私が一人でやるから二人ともあっち行ってて!」 プンプン膨れながら言う美優に俺と優斗はリビングに避難する。 「美優ってあんなキャラだったっけ?」 コソコソ言う優斗に俺は笑った。 「あれで結構、言いたい事ズバズバいう女だぜ」 「そうなんだ… 知らなかったぜ…まるで小姑…」 ピクンと耳をこちらに向けていた美優が 「あ?!誰が小姑だって?」 優斗が慌てて首をすっこめる。 その姿を見て、また俺は笑った。  
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