エピローグ

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瑞希が亡くなってからもう5度目の春…。 「桔平そろそろ時間だからまた後でな」 優斗に言われて俺は頷く。 晴れ渡った空から優しく俺を照らす光に目を細めた。 瑞希… 涼さん… 二人はきっと今でも俺を見守ってくれてるだろうな… 野良猫だった俺も、こんな大人に成長しました…。 そんな事を考えながら窓から空を眺めていたら係の人に促され別の部屋へと案内される。 真っ白なドアをそっと開けると、鏡の前でニッコリと俺を見つめて笑う美優…。 「桔平、なかなか似合ってるじゃん」 「そういうお前もな」 柔らかな日差しの今日… 俺は、瑞希が亡くなってからの5年間ずっと支えてくれた美優と結婚式を迎えた。 「ね、桔平、これ見て」 美優の首から下げられたパールのネックレス。 それは瑞希の遺品の中にあったネックレスだった。 「今日の結婚式は、桔平と私と… 瑞希さんの結婚式だからね!」 優しく微笑んでそのネックレスを見つめる美優を俺はそっと抱きしめた。 「美優… 今までずっとそうやって瑞希の事まで大切にしてくれてありがとな。 だけど… 俺はこれからはずっとお前だけを愛してくし、お前を幸せにするために頑張るから… もうそのネックレスはつけなくていい。 今日は俺とお前の結婚式だ」 俺の言葉にはらはらと涙を落としながら美優が見つめる。 この5年間、美優はずっと瑞希の事を背負ったまま俺と一緒に生きて来てくれた。 それに不平を言った事もなく、まるで当然のように…。 「美優…      幸せになろうな…」 涙をポロポロと落としながら頷く美優をもう一度俺は抱きしめた。  
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