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「こんなたくさん買って食い切れんのかよ」
両手いっぱいに持たされたスーパーの袋を見つめながら愚痴をこぼす俺に、瑞希はニコニコ笑いながら何も答えない。
買い物から戻って部屋の前で表札をチラっと見てみたけど、そこには何も書かれてなかった。
苗字すら解らないその女の作ってくれたハンバーグは本当に美味しくて俺は夢中で平らげた。
「明日の朝から月曜日まではお散歩行っておいで」
瑞希の言葉に俺は悟っていた。
週末は、あの涼って男がやって来るんだと。
「あの涼って人は瑞希サンの男なんだろ?」
俺の質問に一瞬悲しそうに瞳を揺らした天使は
「違うわ…」
それだけ言ってまた微笑んだ。
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