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「じゃあな少年。
ちゃんと学校行けよ。
あと何かあったら連絡しろ」
そう言って俺に名刺を渡して涼は、またあの薄汚い街へと消えて行った。
『八幡興業 冴木 涼』
やたら高級そうな名刺を握りしめて、俺は学校へ向かった。
瑞希の命はあと1年…
なぜあの人は俺を拾ったんだろ…
いったい…何が目的で…
俺を悲しそうな目で犯し続けたあの人の姿が俺の心に焼き付いて、離れない。
冴木涼って男は瑞希をどんな思いで見つめてるんだろう…
俺には解らない事だらけだ。
授業中の教室のドアを開けると
速攻で教師の罵声が飛んでくる。
「倉橋!お前卒業出来なくなるぞ!」
「うっせーな…」
俺はドカっと椅子に腰かけて、そのまま足を机に投げ出す。
隣の席で美優がクスっと笑っていた。
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