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「桔平、武蔵のヤツらにやられたんだって?」
俺の斜め前の席から親友の風間優斗が心配そうに声をかけて来る。
「あー…でも今朝お礼行って来た」
「はっ?相変わらず早ぇーな」
「あの的場って野郎は情けねぇ男だな」
「ハハハ!」
そんな会話をしていたら、体育教師の下田が大声で叫びながら教室に入って来た。
「おい!桔平!ちょっとお前来い!」
いきなり耳をつかまれて引っ張られた俺は、椅子から落ちそうになる。
「痛ってぇな!下田!なんだよ!」
「バカ野郎!お前留年してぇのか!」
「ほっとけよ!」
「お前なぁ…人生なんてあっという間に終わっちまうんだぞ。
真剣に生きろや!」
この教師はうるさいけど、なんだかんだ言いながら俺をいつも心配してくれる。
俺が唯一、嫌いになれない教師だったりする。
「…解ってるよ…
明日からちゃんと来るから」
「全く…どうしようもねぇヤツだなお前は」
クスっと笑って下田は教室から出て行った。
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