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「私の生きてる証、全てよ…」
「どういう事?」
瑞希は諦めたように再び笑って俺の上からベットを降りた。
「私ね…あと1年しか生きられないんだって」
「…………」
「メシアをあの路地で見つけた時ね…あぁ…この子は寿命を知る前の私だって思ったわ」
「えっ?」
「誰にも心を許さない…野良猫」
「…………」
「だからね、残りの1年でメシアに私のわずかに残ってる心を全部あげようと思ったの」
「…どうして?」
「真っ白だったから」
「はっ?」
「何も持ってないメシアだからあげたいの」
「…………」
瑞希は眉を斜めに下げて笑いながら俺を見つめた。
「私の愛情を全部あげる。
………倉橋桔平くん」
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