動き始める心

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仕事で疲れてるはずなのに瑞希は俺に朝食を作ってくれた。 「ちゃんと高校は卒業しなさいよ」 クスっと笑って言う瑞希に俺は素直に頷いた。 「桔平いってらっしゃい」 メシアじゃなくて瑞希がきちんと名前で呼んでくれた事に少し心が弾んだ。 …って言うか、なんでメシアだったんだろう? ふと疑問に思ったけど、俺は学校に向かった。 「これ、桔平が休んでた間の授業のノート」 そう言って俺の成績まで気にしてくれる美優からノートを渡された。 「あー…サンキュ」 「来週中間テストだからね」 ニコっと笑う美優になんだか申し訳ない気がして心が痛む。 美優が教室から出て行くのを見届けてから優斗が俺の耳元に手を当てて来た。 「おい、桔平、お前今朝どこから登校して来た?」 「はっ?」 優斗に聞かれて俺は焦った。 「下田に言われてて俺、今朝お前んち迎えに行ったんだよ」 「…………」 「お前、全然家に帰ってないんだって?」 「……あぁ…」 「美優の家じゃなさそうだし…お前、どこの女んトコいるの?」 「…………」 優斗はため息をついて言った。 「まぁお前の事だから別に俺は何も言わねぇけどさ、 八幡興業の冴木って人と朝メシ食ってたらしいし…」 「え?」 「俺の情報網甘く見るなよ。 あの人はヤバイぞ」 「…解ってるよ」 俺は涼の存在をすっかり忘れていた…。  
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