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俺は涼と別れて瑞希の部屋へ急いだ。
本音を言えば、俺だってまだ普通の幸せってのが何なのか解ってない…。
だけど…
瑞希がくれる命の欠片を繋ぎ合わせたら、それが見つかる気がした。
…早く…
瑞希に会いたい…。
逸る気持ちで瑞希の部屋のドアを叩く。
「おかえり桔平」
「ただいま、瑞希」
呼び捨てにした俺を見て瑞希はクスっと笑った。
例えば…
こんなふうに…
ただいま…おかえり…
おはよう…おやすみ…
そう言い合えるのも小さな幸せなんじゃないだろうか?
瑞希はそんな小さな幸せも知らないままに、ずっと一人で生きて来たとしたら…。
「今日の晩御飯はパスタでいい?」
キッチンに立ちながら言う瑞希の顔がなんだかとても楽しそうで…
「美味しい?」
パスタをガツガツ食べてる俺を見つめる瑞希がとても嬉しそうで…
「瑞希…もっと感じて…」
俺に抱かれながら、声をあげる瑞希がとても綺麗で…
俺は必死に瑞希の命の欠片を拾い集めて行く…。
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