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「桔平ありがとう。美味しかったわよ」
「おぅ」
ニッコリ笑って仕事の支度を始める瑞希の背中を見ながら、俺は後片付けをしてる。
キッチンで皿を洗いながら俺は言った。
「なぁ…瑞希…俺が高校卒業したらきちんと働くから…
そしたらその仕事、辞めねぇか?」
化粧をしながらクルリと振り向いて瑞希がじっと俺を見つめた。
「…それって…?」
「うん…同棲しよう。
毎日ずっと一緒にいよう」
瑞希の顔がぱっと明るくなった。
「いいの?」
「当たり前だろ?でも卒業までまだあと1ヶ月あるからさ…
それまではゴメンな」
「桔平…」
洗い物を終わって俺が瑞希を後ろからぎゅっと抱きしめると
瑞希の目がうるうるし始めた。
「泣くほどの事じゃねぇだろ」
「…………」
「瑞希…愛してるよ」
俺は瑞希の唇にそっと自分の唇を触れさせた。
お前の体温がまだ温かいうちにたくさんの幸せを与えてあげる。
集まり始めた命の欠片は少しずつ形になって行く…。
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