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2月も後半になるとほとんどのクラスメイトは就職やら進学が決まっていた。
もともと真面目にやってなかった俺もいくつか就職の為、面接に行ったけどなかなかこんな金髪のやんちゃ坊主を採用してくれる会社もなく焦っていた。
学校を終わって瑞希の部屋に向かういつもの薄汚い街。
「よぉ桔平」
振り向くとあのビリヤード場跡の一件以来の涼の姿。
「涼さん!」
「たまにはコーヒーでも飲みに行くか?」
「はい!」
あの薄暗い喫茶店の指定席に座ると、何も言わずともコーヒーが出て来る。
「桔平、卒業したらお前どうすんだ?」
まさにリアルで悩んでる俺の問題にズバリ突っ込んで来るところはさすが涼さんだな…なんて思った。
「それが…就職まだ決まらなくて…」
バツ悪そうに言う俺をじっと見つめていた涼がフッと笑ってから言った。
「桔平、お前、ウチに来るか?」
…俺はその言葉の意味が解ってた。
つまり…涼さんの組に入るかって事なんだと。
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