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「ただいま瑞希」
「おかえり桔平」
瑞希の部屋に戻ればいつだって俺を笑顔で迎えてくれる瑞希。
ここ最近、やたら顔色が悪いのは、抗癌剤治療さえ拒んでいるから進行が早くなっているのかもしれない。
それでも必死に笑顔を作って仕事へ行く支度を始める瑞希に俺は聞いてみた。
「なぁ…瑞希…
涼さんの仕事って…どう思う?」
ドレッサーに映る瑞希の目が、一気に悲しそうに変わった。
「涼の仕事って…もしかして桔平…涼に誘われたの?」
「…いや…そうじゃねぇよ」
とっさに嘘をついた。
あまりにも瑞希の目が辛そうに見えたから…。
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