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「すいません涼さん。
俺…瑞希を普通に働いて養ってやりたいんです…」
俺の言葉にフッと笑った涼が言った。
「まぁ桔平ならそう言うと思ってたよ。
まだ就職決まらねぇんだろ?」
「…はい…」
薄暗い喫茶店のコーヒーをゴクリと飲んでから涼は肘をついて俺を見つめた。
「瑞希の働いてる店の黒服やるか?」
「え?」
「俺が口利きしてやるよ」
「マジっすか?」
「あぁ、桔平なら用心棒にもなれるだろ」
俺はふたつ返事で涼に頷いた。
「その代り、店では瑞希の男だって事、バレねぇようにな」
「はい、解ってます」
この時の俺は、とにかく働きたいとしか考えてなかったんだ…。
それが、あんなにも瑞希を苦しめる事になるなんて思わずに…。
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