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シャワーから出ると、バスタオルと俺の着替えが置いてあった。
…瑞希、起きたんだ。
俺は重い気分でバスルームのドアを開けた。
「桔平おかえり」
「ただいま瑞希」
「ずいぶん…遅かったのね」
そう言いながらまるで全て悟っているかのように瑞希の瞳が悲しく揺れている…。
「…キャストの愚痴聞いてたから」
そう言ってはみたものの、俺は瑞希の目が見れなかった。
「…瑛梨香…でしょ?」
瑞希の言葉に思わず瑞希を凝視した。
「…抱いたの…ね?」
俺は黙ったままキッチンに向かって冷蔵庫からミネラルウォーターを出してゴクリと飲んだ。
「そうなんでしょ?
だって…桔平の服…瑛梨香の匂いがしたわ…。
…抱いたんでしょ?」
俺は込み上げて来る言葉を抑えようと必死に無言を貫いていた。
「…ねぇ、桔平…答えてよ!」
瑞希の放った責めるような言葉で俺の中の何かが弾けたような気がした。
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