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いつもの涼の指定席は誰もいなくて、そこだけがなんだか俺の居場所に感じた。
コーヒーを飲みながらも、俺はこの先瑞希とどうしたらいいのかただ考えていた。
「おぅ桔平珍しいな?」
涼の声で俺は驚いて立ち上がった。
「…なんだ?なんかあったのか?」
急に立ち上がった俺を見て涼は驚きながらも笑っている。
「涼さん…俺…」
「…どうした?瑞希と何かあったか?」
俺は涼に昨夜からの事を全て話した。
もちろん、瑞希が今でも涼を愛しているであろう事も。
「…桔平、お前はホントに単細胞な男だなぁ」
「え…?」
「確かにな、瑞希と俺はずっと一緒に肩寄せあって生きて来た仲だ。
俺は瑞希を失いたくねぇからずっとアイツを抱き続けて、ある意味カラダで束縛して来たんだよ。
アイツが他の男とくっついてもな、一度も俺は瑞希から離れなかった。
何でか解るよな?」
「涼さんも…瑞希を愛してたからですよね」
涼はフッと笑って続けた。
「そうだよ。
他の男が出来ようが、俺はずっと壊して来た。
俺は瑞希を失ったら生きてる意味が解らなくなると思ってたからな。
だけどな…
瑞希が初めて俺に抵抗したのが、お前なんだよ。
今までどんな男とくっついても俺が壊そうとすれば、アイツは諦めて俺に抱かれてた。
それが…桔平と出会ってから、初めてアイツが言ったんだ。
桔平の悲しむ顔を見たくないってな。
それがどういう意味か、お前には解らねぇのか?」
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