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「瑞希が愛してるのは俺じゃねぇ。
桔平、お前だよ」
…何も言えなかった。
ずっと涼に無抵抗で抱かれ続けて来た瑞希が、俺のために初めて涼に抵抗した…。
それなのに、俺は瑞希を信じてやらずに勝手な憶測で瑛梨香を抱いた…。
…自分がどれほどガキなのかと思うと泣けて来る。
「瑞希を信じてやれよ。
言ったろ?
瑞希をキッチリ守れる男になれって。
アイツはお前が他の女抱いたくらいでお前への気持ちが冷めるような女じゃねぇよ。
なんてったって、お前は瑞希が初めて愛した男なんだからよ。
ただ、瑞希の最期だけは俺に返してくれよ?
アイツは俺の人生そのものだからよ。
アイツの最期をきちんと見届けねぇと、俺は先に進めねぇんだ。
解ってくれ」
出会った頃は、あんなにも冷酷に見えた涼の目は、優しさと愛情に溢れていた…。
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