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「桔平!瑞希は…瑞希はどうなんだ!」
走って来る涼の姿が目に入る。
「…まだ…処置室の中です…」
「しっかりしろ!桔平!」
フラフラになった俺の足元を見て涼に喝を入れられる。
「…涼さん…
瑞希…このまま逝ったりしないですよね?」
「バカ野郎!お前に何も言わないで瑞希が逝く訳ねぇだろ!」
なかなか開かない処置室のドアに俺はただ、ひたすらに祈った。
…瑞希…
もう一度…俺を抱きしめてくれ…
処置室に入って1時間くらいで、ようやくドクターから声を掛けられた。
「ご家族の方は…?」
「俺です。一緒に暮らしています」
「そちらの方は?」
涼を見てドクターが言うと、涼は一瞬悩んで
「兄妹みたいなモンだ」
と言った。
「そうですか…ではお二人とも中へどうぞ」
俺はゆっくりと処置室のドアに手をかけた…。
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