冷たい現実

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処置室の中で、酸素マスクをつけられた瑞希の細い腕に向かって何本もの点滴と輸血の管が伸びている。 なんだかそれがとても痛々しくて、瑞希が重い病気に侵されている事を痛感した。 「えー…飯島瑞希さんの病状なんですが…」 ドクターの呼んだ名前で俺は初めて瑞希の苗字を知った…。 一緒に暮らしてるのに… 俺は瑞希の苗字さえも知らなかった事に今更ながらに泣けて来る。 「急性骨髄性白血病って事はご存じですよね?」 「…はい…」 「抗癌剤治療も受けてないようですし…かなり病状は早いペースで進行しています。 このままだとあと3ヶ月持つか… それくらい進行している状況です」 なんとなくは解っていたけど… 現実を見せられて俺は今にも崩れ落ちそうだった。 「今日倒れられたのはひどい貧血状態で…」 もう…ドクターの説明すら俺の頭に入って来なかった…。 このままだとあと3ヶ月持つか…っていう言葉だけが俺の頭の中を駆け回っている。 「とにかく早急な入院が必要です。 今は薬の影響もあって眠っていますが、本人はかなりの自覚があるほどの痛みを感じていると思われます」 …そんな痛みまで感じてたのに…ずっと俺に笑ってくれた瑞希の気持ちが俺の胸を締め付ける。 「先生、瑞希を助けてやってくれよ」 ずっと黙って聞いていた涼がポツリと言った。  
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