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「どんだけ金がかかってもいいからよ…瑞希を助けてやってくれ…
コイツ…やっと本当の幸せ見つけたばっかなんだよ…」
涼の言葉を黙って聞いていたドクターは悲しそうな目で言った…。
「…もう…手遅れです…。
複数個所に転移も見られます。
抗癌剤治療をすれば、少しは延命出来ますが…
完治は不可能です…」
俺はその場にひざまずいた…。
もう…立っている事も出来ないくらいだった…。
瑞希…
覚悟はしていたけど…
やっぱりお前がいなくなるなんて、俺にはとても受け入れらんねぇよ…。
処置室のベットで眠っている瑞希の顔を見つめながら、涙が溢れるのをそのままに、ただ俺は呆然とした…。
その夜は一晩中瑞希のそばにいた。
「また明日の朝来るから」
そう言って涼は帰って行った。
時々、瑞希の顔が苦しそうに変わるたびに俺は瑞希の手をさすった。
瑞希が明日の朝、目覚めたら俺はどんな顔で瑞希と話すんだろう…。
静か過ぎる長い夜…
瑞希…
俺を置いて逝かないで…。
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