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瑞希が入院して1週間。
ついに抗癌剤治療が始まった。
嘔吐に苦しむ瑞希の背中をずっとさすってやるしか出来ない自分が情けなかった。
「頑張れ瑞希」
それしか、かけてあげれる言葉がない…。
それでも辛い顔ひとつせずに
「大丈夫。
桔平がいてくれるから…」
そう言って微笑む瑞希に涙が零れそうだった。
「今日は出勤してくるけど、大丈夫か?」
俺が聞けば瑞希は無理してでも
「大丈夫。子供じゃないんだから」
そう言って笑う。
出勤ギリギリの時間まで瑞希と過ごして俺は店に向かった。
店内清掃を終わって黒服に着替えていると、瑛梨香が出勤して来た。
「桔平…話したい事あるから…
今日店終わったら時間ちょうだい」
俺は黙って頷いた。
瑛梨香とも、きちんと話さなきゃいけない事は俺も考えていた。
瑞希の為にも…
きちんとケジメをつけなきゃいけないと。
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