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「あっちゃー、やられたわ」
「お、お弁当残ってるかなぁ?」
今、この男の頭の中は、きっとそれしか無い事だろう。列の先にあるコンビニの奥の方にある弁当コーナーがここからは見える筈も無いのだが、一生懸命背伸びして見ようと試みているようだ。
いつになく真剣な面持ちだ。
しかし、さっき素早く並んだ事は幸いした。
後から後から、自分達の後ろにはどんどん列が伸びて行く。
前にはかなりの人が並んではいるが、後ろを見るとまだマシな方に思えてくる。それに、思ったより列の進むスピードも速い。
そんな事を考えていると、お弁当を手に入れたお客さんの中に、知っている顔が混じっている事に気が付いた。
同じ課の女子4人だ。その内、1人は新人の女の子。
そして、もう一人は…
俺は思わず声を掛ける。
「あ!上原さーん」
こちらに気付いた上原さんは、明るく手を振ってくれ、4人共こちらに近寄って来た。
そして後2人、招かざる人物も混じっている。この2人も一緒だったのか。しかし、一緒にこっちへ来ることも無いだろうに。
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