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「ふぅん、また出かけるのか」
「う、へんひゅうれいふははんは」
「きったねぇから口ん中なくなってから喋ろよ」
先程の騒動とはうってかわって穏やかな朝食の時間…とはいかず、マスターはガツガツとせわしなく卵かけご飯をかっくらう。
「マスター、明日から5日間の出張なんだって」
「うん、知ってた」
「なぬ?!僕NAGATOに言ったっけ?!」
「情報狂の名は伊達じゃねぇの、あといい年して僕は止めろよ、お前もう122だろが」
「僕の業界では百年なんてひよっこですー。てかプライバシーの侵害だー」
マスターは人間だが人間ではない。
正確には"純血の"人間ではない。
この世界には純血の人間は殆どいないに等しい。
人間だとしても99%の確率で魔族や妖との混血なのだ。
「…そうだなー、先代マスターとは違うもんなー」
「あーまた先代と比べたな!そりゃまだ僕は先代と比べたら未熟だけどお前らのメンテ技術くらいはしっかりしてるんだからな!」
「はいはいヒステリックな男はモテないぜ」
「ねぇNAGATO、マスター」
先程まで2人のやりとりを微笑まし気に見ていたA-10が突然2人に話しかけた。
「ん?なんだA-10」
「もうそろそろ学校行かなきゃ、マスターは偉い人が来るんでしょ?」
「「あ」」
時計はもうすぐ9時。
こうして研究所の慌ただしい朝は幕を閉じた。
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