第一章 隣の年下

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自分でも上出来な笑顔だったと思う。 …なのに、なのに、なのに! 隣の子は本から目も離さず私にむかってため息混じりで呟くように言った。 「新学期早々友達作りですか。いいご身分ですね。留年してる割に余裕なんですね。」 …なんなのコイツ──っ!? 何気に短期な私は自分を中で怒りが沸々と沸き上がるのを感じた。 「…あのねぇ? 留年してるの知ってんなら、なんで仮にも先輩の私に大口たたけ……ん?」 そこで私は気がついた。 なんでコイツ私が留年してるの知ってんの?! 黙ってたら留年してるってことは誰にもばれないかなって心の奥で勝手に思って安心してた私にとって留年がばるとはとんだ誤算だった。 留年してるってばれたら友達できなさそうじゃんっ。 私はあせって周りを見回した。 すると、ぐるっと見回しただけなのにほとんどの人と目があった。 しかも私と目があった瞬間皆すぐに目をそらす。 皆が私をみてる…? …私が留年してるの皆にばれてる?
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