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俺はそれを受け取ると
「ほら、オルジェ。とりあえず、これを飲んでおけ。苦いだろうが、飲まないよりは体調が楽になるはずだ」
グロッキー状態のオルジェに近づき、胃薬を手渡す。
「ううっ、ありがと……カシス、ミフィト……」
「礼はいいから、早く飲んでくれ。ほら、水だ。背中もさすってやるから、そこのベンチに腰掛けてくれ」
俺は弱々しいオルジェを支えながら、彼女に胃薬と水を手渡して、イスに誘導した。
俺としては、看病しつもらったお返しのつもりだった。
やましい気持ちも変な気持ちはこれっぽっちも無い。
それなのに……
「ほああ、何だか熱々の恋人さん達みたいなんだじぇ。看病し合って、心配し合って……ラブラブすぎて、ボク達は蚊帳の外なんだじぇ」
「ほ、本当ですね……。ぼ、僕もイーレンさんとあんな風なやり取りをしたいな……な、なんて、厚かましいですよね……」
「二人はいつ見ても仲が良くて微笑ましいよ。……ちょっと妬けるね」
ティルとミフィトとイーレンの三人には、違う風に見えたようだ。
からかっているわけではないだろうが、そんな風に見られるているのかと思うと、急激に恥ずかしくなった。
「か、からかわないでよ。あたし達はそんなんじゃないだから……」
「そ、そうだぞ。大体、俺とオルジェは女同士で……って、えっ?」
否定するオルジェに便乗してそう言ったは良かったが、俺はふと彼女を見て驚いてしまった。
普段なら、俺との仲をからかわれても、表情や態度を変えないオルジェが、頬を赤らめて俯いてもじもじしていたからだ。
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