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「オル……」
「て、照れてなんかいないわよ!き、今日は暑いから……だから顔が赤いけど……ああ、もうっ!早く出発するわよ!」
「は、はい、行きましょうか……」
「り、了解なんだじぇ」
早口かつ大声で弁解するオルジェに押し負かされて、俺達は足早に大都市ロークトアーラスを出た。
「え、えっと……で、出たのはいいんですが、つ、次はどこへ向かえばいいんでしょうか?」
「ちょっと待つんだじぇ。んーっとね、次に近い干支神様が居る場所は、ここから北西に五キロ行ったところにある……はれっ?今度のところは、街でも都市でも村でも無いんだじぇ。森なんだじぇ」
どこからともなく、普通サイズの地図を取り出して僅かに首を傾げながら、ミフィトに言葉を返すティル。
森なのと、オルジェが聞き返す。
「うん、森なんだじぇ。森は森でも聖なる森と書いて、聖森(せいしん)……“パルミド”と呼ばれている清らかな場所なんだじぇ。ボクは大丈夫だと思うけど、もしかしたら……」
「も、もしかしたら……な、何ですか?」
「人間は立ち入れない場所……とかね?」
推測を述べたイーレンに、ティルはうんと躊躇いがちに頷いた。
「そう言われても、干支神がそこに居るのなら、行くより他無いだろう。ティル……因みに、そこに住む干支神の名前は?」
「申神(さるがみ)様なんだじぇ。どんな神様なのかは、ボクも会ったことがないからわからないけど……」
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