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「オルジェ……体調良くなったね?イーレン達はそれが気にかかったから、オルジェの反応を見ていたよ」
「ええ、ミフィトがくれた胃薬……超即効性みたいね。飲み込んで数秒で、気分の悪さも頭痛も治ったわ!」
オルジェは晴れやかに笑いながら、イーレンからの質問に答えた。
その言葉は、あながち嘘では無いらしい。
青白かった顔は健康的な肌色に戻っていて、普段通りの明るく元気な彼女として復活していた。
具合が悪いよりは多少暴走したとしても具合が良い方がマシなので、俺は彼女の体調についてこれ以上突っ込まないことにした。
代わりに
「オルジェも良くなったことだし……改めて、慎重に、それでいて堅実に聖森パルミドを目指すぞ」
こほんと一つ咳払いをしてから(特に意味は無いが)そう出発の音頭を取って、行こう、行きましょう、はい、行くんだじぇと賛成の声を上げた仲間達と共に、聖森パルミドへと向かった……。
「はあはあ……もうっ!どこまで追いかけてくるつもりなのよ!?」
「はあっ……俺に訊かれても知らないぞ……。あいつに……っ……訊いてくれ!」
荒い呼吸をしながらもややヒステリックにも聞こえる甲高い声で訊いてきたオルジェに、俺も同じく荒い息をつきながら言葉を返す。
「喋ると余計な体力を消費するよ。今はとにかく……あいつを何とかする方法を考えるよね」
「はあはあっ……む、無理です!逃げる……っ……だけで精一杯で……はあ、あ、頭が回りませんよ!」
呼吸もそれほど荒くなく冷静な意見を述べるイーレンとは違い、ミフィトはパニック状態になっているようで悲鳴に近い声を上げていた。
「はううっ……呪印は無いのに、なんであんな凶暴化しちゃってるか意味不明なんだじぇ」
首を傾げてそう呟くティルは、最後尾に付いて呑気に一人呟いている。
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