『春』部門

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「僕の彼女になりなさい」 桜が咲き乱れるグランドの隅にあたしは担任の三宅 聖史(みやけ さとし)先生に呼び出されていた。 グランドは部活中の生徒たちで賑わっていて、あたしと三宅先生がいるのは極めて不自然な光景ではなかった。 ……が、三宅先生の発言は極めて不自然そのものである。 「はぁ? 三宅センセ、春だから頭おかしくなったんですか?」 あたしは赤縁眼鏡を触りながら三宅先生の顔をじっと見た。 「おかしくありません」 真面目に三宅先生は答える。 「んじゃ、ロリコンですか?」 意地悪っぽくあたしは言う。 「ロリコンじゃありません」 確かに三宅先生は若い。 今年で25歳だっけ? あたしが今年で18歳だから7つしか変わらないのか。 見た目も背は高いけど、童顔で短めの黒髪だから若く見えるけど。 「三宅センセ、言いたくないんですが……」 「教師と生徒の垣根は越えちゃいけないといいたいんでしょ?」 あたしが言い終わる前に三宅先生が割って入ってきた。 「わかってるならそう言う事です」 あたしは長い三つ編みの髪の毛を触った。 「ちょっと来てもらえますか?」 ぐいっと三宅先生はあたしの手を引いた。 「はぁ……」 あたしは三宅先生に手を引かれるまま、ついていく。
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