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「ある人との約束です」
そう言って三宅先生はゆっくりと目を開けた。
「……そうなんですか。
何であたしにそんな話しを?」
三宅先生の憂鬱そうな瞳はじっと桜の木を見つめている。
「貴女が昔の僕に似ているからかな」
三宅先生の瞳があたしをうつす。
「あたしがですか?」
思わずあたしは聞き返す。
「……それに貴女は僕がこの話をしても馬鹿にしなかった」
そう言って三宅先生は優しく笑う。
「三宅センセ」
この笑顔の下には何が隠されているんだろう……。
「ん?」
あたしの呼び掛けに三宅先生は耳を傾ける。
「あたしは三宅センセが思ってる程優等生じゃありません」
そうだよ。
あたし、ホントは真面目でも何でもないのよ。
今のあたしは作り物のあたしなの。
「……知ってますよ」
三宅先生はあたしの頭に優しく手をのせる。
「テキトーな事言わないで下さい!」
思わずあたしは大きな声をだし、三宅先生の手を払いのけた。
「……貴女、カンニングの常習犯ですよね?」
三宅先生の目がギラリと光る。
「!?」
三宅先生の発言にあたしの心臓はバクバクと激しく高鳴る。
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