『春』部門

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「この学校はテストの時、担任が監督しますよね。 僕は貴女の担任ですよ? 気付かないと思ったのですか? 三年間、繰り返していた事知ってます」 三宅先生はあたしが一年の頃からの担任。 だから、テストの時は嫌でも三宅先生の顔を拝まなきゃいけなかった。 ……三宅先生気付いてたんだ。 あたしの事ちゃんと見ていたんだね。 「じゃあ、あたしに罰を与えなさいよ! 貴方、教師でしょ!」 三宅先生の言葉にあたしは反発する。 これが物心ついて大人に対して初めてした大きな反発だった。 まぁ、小さな反発は沢山あるけどね。 「……貴女は僕の教科だけはカンニングしない。 それは心の何処かに懺悔の気持ちがあるからではないですか?」 ドキッ 思わずあたしは三宅先生を凝視する。 三宅先生はまるであたしの心を見透かしているようだ。 「説教なら聞きたくありません」 素直になれないあたし。 何処まで可愛いげがないんだろう。
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