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「あれ」  そこには僕がいた。  姿形も変わらない、思考も恐らく同じであろう僕が、まったく違う友人、家族、コミュニティの仲で暮らしている。 「おかしいな」  そこにいる僕はとても楽しそうに笑う。まるで僕を嘲笑うかのように笑う。 「なんでだろう」  目があった。少し驚いた僕は目を見開いて僕を見る。  仲間に頬を叩かれるとまるで気にしないようにすぐ僕から視線を逸らしてしまったけれど。  笑顔の僕には僕なんて視界にも入っていないんだろう。  醜い僕を見てよ!  僕がこうなればよかったんだ!  ああなりたかった!僕はああなりたかったんだ!  ああやって、笑っていたかったんだ! 「あはは」  漏れるのは不器用な気持ち悪い笑顔だけだ。 「素敵じゃないか」  そうか、わかったよ。  僕が、僕でいる理由が。  僕が、僕であり続ける理由が。
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