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 嫌な物を見た。  まぁ田舎暮らしにはよくあることなんだけれども。  黒い物体は動かない。死んでるから当たり前か。  カラスだったものを横目に見ながらサヨウナラする。  いやいや、わざわざ私が弔わなくても、ね。誰かするでしょ?  あとで妹にエンガチョしてもらわなくちゃなぁとかその日は思ってた。  次の日、だったかな。数日後だったかもしんないけど。まぁどうでもいいんだけどさ、そんなことは。  カラスだったものがあったところに、黒い手袋が片方だけ落ちていた。  いやいや、変な偶然ってあるもんだねぇとか思いながら、また横目に通りすぎる。  でも手袋はその後何日も何日もずっと同じ所にあったんだ。  オイオイ、カラスの死骸はとっとと処分するのに誰も手袋は片付けねぇのかよ。なーんちゃって思っちゃってね。  まぁ捨てておいても悪くはないんじゃない、って。なんでだろう。その日は思ったんだよ。  手袋を拾おうと身を屈める。  よく見ると、それは手袋じゃなかった。  なるほど、これは誰も片付けないわけだよ。  満足した私は大事に"手袋"を抱いて、笑いながら帰ったんだ。
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