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「何がいいたい」
「ふふ、取りあえず言わせてもらうけど、1週間ぶりに目が覚めて、栄養もままならないか弱く痩せ細った人間が喋るわけないって事」
ねぇ、と目を細め可笑しそうに同意を求めてくるこいつ。
漆黒の長い髪にやはり紅い眼。綺麗に整った容姿の男だ。
それにどう応えていいのか分からず、頷くにも小さすぎる。
でも、それが本当の事であり、当たりなのだ。
だから小さな頷きと瞬きをした。
これで分かってくれるだろうか。
「ほらね」
分かってくれたようだ。
「…ちっ。なら太らせろ」
「ふっは。言い方が一々大きいって」
爆笑するところだろうか。
それよりも何で俺はこんなにされている。
繋がれているのは点滴って事は治療をされていたという事か。
「イリス、こいつは俺の贄だ。他にもちゃんと言っておけよ。喰いやがったらぶっ殺す」
「いらないよ。そんな汚い子。もっと綺麗な素直な子を下界で俺は食うしね」
喰う。
贄。
吸血鬼かもしれない。
あぁ、ここでは家畜か。
意識を失うまでは見世物の道具。
その前は、…もういろいろしたな。
汚い、って言われても仕方がない。
そのような事をしてきたんだから。
「俺の名前はカルマだ。主の名くらい覚えておけよ。人間」
カルマ。
じゃあ、アリスってどういう事。
いや、そんなのどうでもいいか。
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