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ここまでタカシとメールをして、俺は初めて罪悪感という物を感じた。 (姉さんをここまで思ってくれた人を、俺は……) そう思うと、今すぐタカシに謝りたかった。だが、ここまでメールを続け、いきなり「実は嘘だった」ということを知ったら…… そう思うと、このメールを続けざるを得なかった。 実は俺自身が生前の姉さんのことをもっと知りたいという気持ちと、人の温かさにふれたい、という今思えば身勝手な理由で、タカシとのメールを続けていた。 そして、タカシとのメールの内容を見ていくと、すぐに姉さんがタカシに惚れた理由がわかった。 俺が女だったら、きっとタカシにアタックしたに違いない。 こういう考え方は姉弟ともに似ていた。 「私はね、レイジみたいなしっかりした男じゃなくて、どこか情けなくて守ってあげたい人がタイプなの。」 生前、姉さんはこう言っていた。 俺もその考えには同意だった。 自分より強い異性と付き合うのが嫌だ、というのは姉弟ともに同じで、タカシのメールを見ていると、すぐに姉さんが好きな「優男」だ、と気づいたのだった。
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