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5ヶ月間タカシとのメールを通じて、彼の性格や姉さんとの思い出を知ることは出来たが、名字までは知ることは出来なかった。 盲点だったな……。 俺はさりげなくタカシの名字を知る方法を考えた。 そうだ、電話だ。 自然な会話の流れがあれば、聞き出すことも出来る。 幸い俺の声は高く、出そうと思えば女性の声を出すことも出来る。 俺は、タカシに電話をかけるため、かけてもいい状態かを確認するために、メールを作り始めた。 「タカシ、今どこにいるの?」 その数十秒後に返事が来た。 「学校にいるけど。どうかした?」 俺はその返事を見てメールを打ちながら、深呼吸した。そして、 「今電話していいかな?」 と書き、送った。この数分後に返事が来たのだが、この数分が何時間にも感じられた。 「大丈夫だよ。」 俺はタカシの電話番号をアドレス帳から見つけ、発信キーを押した。
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