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タカシからの電話を切った後、俺は姉さんが通っていた学校に電話することにした。
「もしもし?神戸アヤの弟の神戸レイジと申しますが……。」
話を聞く限り、姉さんとタカシは同じ学校に通っていた。姉さんの名前を出せば、学校も何とかしてくれるはず……。
そう思って電話をかけたのである。
「姉がお世話になっていた、佐々木タカシさんという学生さんとお話したいのですが……」
俺が言うと、学校の事務職員らしき女性は少々お待ちください、と言って、保留に切り替わった。
数分後、さっきの事務職員らしき女性が出た。
「もしもし、神戸さんですか?」
「はい。そうですが……。」
タカシを呼びに行ったにしては、バカに早い。
俺は首を傾げた。そして、彼女の口から驚くべき一言が飛び出した。
「本校に佐々木タカシという学生は在籍しておりませんが……。」
タカシが存在しない。どういう事だ。
俺は混乱した。じゃあ、俺が今までメールしていた相手は一体……。
「あの……神戸さん?」
彼女の声を無視し、俺は電話を切った。
タカシは姉さんと同じ学校だったはず……。
俺は過去のメールを見返した。
「アヤと初めて学校で見てから……」
という旨のメールがあった。やはりタカシと姉さんは学校で出会ったはず……。
どういうことなんだ。
だが、下手に問いつめたら、俺が姉さんではないことがバレてしまう。
俺はまず、事態の確認を優先した。
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