2話 アイドル盗撮殺人事件

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人通りの波を避けるように、歩いていた時、経吾の体は異様な物を感じた。 その異様さは以前に感じたもの。 頭より、体が覚えている。 霊武者の気を。 たまらず、立ち止まる。 「どうかしたの」 「ああ、感じる、感じるぜ、霊気を、あの野郎のな」 緊張感が走り、息をのんだ。 「ま、まさかこの前の霊武者が、でもこの人ごみの中、誰に入り込んだのかなんてわかるの」 太一は首をひねり、異常がないか確かめる。 「わかるわけないぜ、奴は俺の存在に気づいてるのか」 「経吾君、左手が」 太一は経吾の妖しく光る左手を見た。 青白く光る左手から金属製のレンズか浮かび上がる。 左手をかかげ、辺りを写した。 まるで旅行客が珍しさにデジカメを撮りまくっている様だ。 手の平には写した画像が。 ゆったりと駅周辺を霊写する。 しかしその映像には、霊武者は写らない。 楽しそうにした人間だけが、写っている。
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