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三人は立ったまま、何も言い返せない。
悔しい。
ここまで来て、このまま帰るのか。
三人の胸の内は、自分の力の無さを思い知らされたのだった。
しかし経吾は黙っていられなかった。
口より先に体が動いた。
藤ノ木に一発喰らわせてやると殴りかかる時。
後ろから両腕を掴まれる。
グッ。
経吾は完全に捉えられて、身動きできない。
掴まえたのは、二人の警備員。
警備員の存在に気が付かなかった。
「はなせ、チクショウ」
経吾は必至に抵抗するが、さすがに力負けして社長室から、放り投げられた。
「グッ、痛てぇ」
「大丈夫かい経吾君」
腰をついて痛がる経吾を、太一が心配した。
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