拝啓、とても遥かな甲子園様

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ぶち破り、金属バットを手にした鬼の様な形相のおかんが登場する。 ――ターミネーターかよ! 「おかん! 賃貸なのにドア壊してどうすんだよ!」 「心配せんでもよろし! あんたが働く様になったら払ろてもらいまっから!」 (――でも俺は、高校一年生の時の……あの事件があってから、おかんには頭が上がらなくなったんだよな) 小学1年生から野球を始めた。地域のスポーツ少年団に入り、ボールの投げ方から教えて貰った。 元来、運動神経も大したこと無く、6年生になろうというのにレギュラーになれない。 「あきらめたらあかん。続けてたらいつか道は開けます」 おかんはどこ吹く風って感じだ。 「ほんでも、もしあんたが試合に出たかったらひとつええ方法がある」 「どんな?」 試合中は、ずっとベンチ前に立って、控えのメンバー達と応援の歌を唄っていた。それも嫌ではなかったが、たまには試合に出たいよな。そう思っていた。
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